【本の感想】

『性的人間』

 正直に言って、この本はタイトルに惹かれて買った。だって、どういう意味だろう、と思うでしょ。(笑)
 で、読んでみるとこれはまあ、タイトルについてとくにどうということはなかった。フロイトを持ち出したりしなくても、人間そのものを描こうとする文学作品(文学だけじゃないけど)は、大抵性的な要素が大きく扱われる。この本に収録されている「性的人間」という作品では、その性的な要素を主なテーマとして前面に出して扱っている、ということになるのだろう。私は個人的に、どうせ性の問題を大きく扱うのならメインテーマにしちゃってくれた方が潔く感じて好きなので、この作品は楽しめた。もっとも、やはりこの本に収録されている「セブンティーン」という作品ではメインテーマとしてではなく性のことが(主人公が17歳なんだから当然、という感じで)大きく扱われているが、これはこれで楽しめたので、私の主義主張も大したことはない。

 さて、次に読む大江健三郎作品は、どれにしようかな。

1998/11/07
『性的人間』
大江健三郎 著
新潮文庫(お9-4)

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