正直に言って、この本はタイトルに惹かれて買った。だって、どういう意味だろう、と思うでしょ。(笑)
で、読んでみるとこれはまあ、タイトルについてとくにどうということはなかった。フロイトを持ち出したりしなくても、人間そのものを描こうとする文学作品(文学だけじゃないけど)は、大抵性的な要素が大きく扱われる。この本に収録されている「性的人間」という作品では、その性的な要素を主なテーマとして前面に出して扱っている、ということになるのだろう。私は個人的に、どうせ性の問題を大きく扱うのならメインテーマにしちゃってくれた方が潔く感じて好きなので、この作品は楽しめた。もっとも、やはりこの本に収録されている「セブンティーン」という作品ではメインテーマとしてではなく性のことが(主人公が17歳なんだから当然、という感じで)大きく扱われているが、これはこれで楽しめたので、私の主義主張も大したことはない。
さて、次に読む大江健三郎作品は、どれにしようかな。