清水義範氏の短編集。見るからにソソられるタイトルの表題作は、吉川栄治文学新人賞受賞作らしい。
読んでみて、やはり『国語入試問題必勝法』は傑作だと思った。たまたま私は先日友人から来年度の高校一年生の国語の教科書を見せてもらう機会があったのだが、その内容のとんでもなさ、マヌケさ加減にビックリ仰天してしまった。昔から学校で教える「国語」はかなり無茶だと思ってはいたが、私の知らない間にそれがどんどん悪化して、現在ではほとんど冗談としか思えないところまで来ているらしい。この作品は1987年初出らしいが、その辺のことを実にうまく料理している。強烈なギャグも一発あって爆笑させられたし、久々にお気に入りの一本と言えそうだ。
「国語」のとんでもなさに関しては『猿蟹合戦とは何か』という作品の中でも言及されていて、教科書を見た時の私の印象にはむしろこちらの方が近かったし、作品としてもかなり面白いのだが、やはり私としては文句なく笑える『国語入試問題必勝法』がイチオシだ。
この本に収められている作品群はそれぞれに題材も方向性も雰囲気も様々で、一応同じテーマで統一されていた『アキレスと亀』とはだいぶ印象が違う。これはたまたまなのか、それとも角川文庫と講談社文庫の方針の違いなのかな。どちらにしても、先日の予想通りまだまだ清水義範氏の本は沢山買うことになりそうだから、そのうちに判ることだとは思うけれど。