【本の感想】

『JavaScriptプログラミング』
『JavaScriptリファレンス』

 オライリーの書籍の質の高さには定評があるが、この本も期待を裏切らないキッチリした内容の本だ。内容的に不足なく必要な要素が網羅されている一方で、解説文は平易で読みやすい。文法の解説の部分も、CやC++の経験のない読者でも理解出来るよう配慮されている(プログラミングの経験が全くない読者にはちょっと辛いと思うところがあるが)。
 『JavaScriptプログラミング』がJavaScriptの文法とクライアントサイドJavaScriptにおけるプログラミングの解説で、『JavaScriptリファレンス』がJavaScriptのオブジェクトのリファレンスマニュアルである。この2冊は別々に売られているが、原書では1冊の本だったらしい。片方だけ必要というケースがどれだけあるかは少々疑問だが、分厚い1冊の本よりも解説書部分とリファレンス部分が別れていた方が扱いやすくて有り難いとは思う。その分値段が上がっているかもしれないので思いは複雑だが。(笑)

 本の内容としてはとくに文句をつけるところもなく、しっかりとした「完全な」解説書(とリファレンスマニュアル)なので、この2冊があればJavaScriptに関して他の本は一切必要ないんじゃないかと思える。実際には何かと他の情報も必要になって来たりするかもしれないが、自分の中でのスタンダードとしてしっかりした内容の解説書が存在するという安心感は非常に大きい。最近では山ほどあるJavaScriptの解説書の中でこの本を選んだことは、大正解だったと思う。
 ただ、この本は1997年の発行で、原書はさらに古い。『JavaScriptプログラミング』の解説はJavaScript1.0と1.1、ブラウザとしてはNetscape Navigator2.0と3.0、Internet Explorer3.0を対象とした内容になっている。『JavaScriptリファレンス』の方はNavigator4.0とIE4.0も考慮されているが、それも完全ではなく、内容的にやや古いことは否めない。
最新の技術に関する情報が必要な場合には、他の情報源が必要になるだろう。私の場合はとくに最新技術を使いたいとは思わないので問題ないが、こういう面で翻訳書が不利なのは確かだと思う。国産の本にもオライリー並みに良質なものが沢山あるといいのだけど…。

1999/04/02
『JavaScriptプログラミング』
『JavaScriptリファレンス』
David Flanagan 著
村上列 監訳
安藤進 訳
オライリー・ジャパン

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