御存知の方も多いと思うけれど、Windows Scripting Host(以下WSH)というのは、要するにWindowsにおける高度なバッチファイルのようなものをVBScriptやJScript、Perlなどのスクリプト言語で書けるというもの。Windows98になって標準装備されるようになった機能だが、追加モジュールを入手すればWindows95でも使える。ちなみにVBScriptというのはVisual BASIC Scripting Editionの略で、JScriptというのはJava Script(ECMA Script)をMicrosoftが実装したもの。
なかなか便利な機能に思えるのだけど、使ってみようにも使い方の説明がどこにも見当たらず、しかも私はVBScriptもJScriptも知らないので、途方に暮れてしまっていた。それが先日になって、一応Java Scriptもかじったことだし、そろそろ解説書が出ている頃合いだろうと思って書店を探してみると、WSHに関する本は4冊ほど見つかった。やれ嬉しやと一通り中身を見てみると、どうもWSHに関してはVBScriptが標準ということになっているらしく、どの本もVBScriptでの解説が主体になっていて、JScriptのことは全く書かれていないか、書いてあってもオマケのような扱いだった。そんな中で、この本はJScriptのことがかなりマトモに扱われているように思えたので、買ってみた。
読んでみての感想は、やはりこの本もVBScriptの本だったということ。JScriptに関する記述もかなりあるのだが、あくまでもVBScriptでの解説が主体になっていて、JScriptではやり方が少し違うと思われる部分ではJScriptが全く無視されてしまっている。単純に文法の置き換えで対応出来る部分ではJScriptによる例が載っていたりするのだが、読者としては「それは逆だろう」と思ってしまう。文法の置き換えだけで対処出来ない部分でこそ解説が必要なのだから。
もっとも、この本はそもそも「はじめての」WSHの入門というか体験を目的とした本であって、本格的な解説書ではないのだろうとは思う。リファレンスマニュアル的にオブジェクトのプロパティとメソッドの解説が羅列してある部分でも、パラメータの省略時の解釈が書いてあったり書いていなかったりするし、サンプルリストでもメソッドの使い方が統一されていなかったりなど、かなり「甘い」部分が目立つ。解説に関しても全体的に間の抜けた部分が散見され、初心者には意味不明と思われる記述もある。
一応WSHの動作原理に関する解説があったり、WSHから使えるプログラムをVisual BASICやVisual C++、Delphiで作る方法が解説されているなど、構成はとても適切だと思うのだが、実際には解説の内容が薄くおざなりで、あまり役に立たない。
VBScriptでExcelを扱う部分だけ妙に内容が濃かったりするのを見ると、著者は元々VBAが得意だったのでこの本を書くことになったのだが、他社に先駆けて早い時期に出版したいがために慌てて執筆したので他の部分の内容が薄くなってしまったのではないか、などと邪推してしまう。
この本の解説で一応WSHをいじるくらいは出来るようになったが、仮にもプログラミングであるからにはもっとキッチリとした情報がないと不安で仕方がない。今後本格的な解説書が登場することを期待したいところだが、果たしてそういう本は出て来るだろうか。