私は、「好きな芸能人は誰ですか」と聞かれると、「所ジョージ」と答えることにしている。実際、芸能人として一番「好き」だと思えるのは所ジョージ氏なのだから。こんな質問をする人の中には当然女性タレントの名前が返って来ると期待している人もいるようで、そういう場合にはとても意外そうな変な目つきで見られることになるのだが、まあ私の知ったことではない。
で、それなら所氏の著書は色々と読んでいるだろうと思われそうだけれど、さにあらず、実はほとんどマトモに読んだことがない。私は所氏の徹底した「率直さ」が好きなので、恐らくその著書にも率直なことが率直に書いてあるのだろうと思っていたし、所氏の本をよく読んでいる友人から聞いた話でも、どうやらそうらしかった。そういう本を読めば、当然その率直さが気持ちいいのだろうけれど、結局のところそれだけではとくに得るところはないんじゃないだろうか、と勝手に考えて、敢えて手を出す気になれずにいたのだ。
それを今回読んでみる気になったのは、要するにいつもの通り単なる気まぐれだったりする。書店である本を探していたが見つからず、「あーあ」と思っていたところに代わりに目に入ったのがこの本だったのだ。何となく、勢いでそのまま買って来てしまった。
この本の内容は、「世の中にはこんな困ったことがありますけど、こうしたらもっと良くなるんじゃないでしょうか。私ならこうしちゃいますね」というようなアイディア(?)が、色々な項目に関して一つずつ書いてあるというもの。まあ要するに、所氏が普段思っていることを項目ごとに整理して個別に提示してあるということだろう。
読んでみての感想は、まあ、8割方は私の予想通りだった。ある程度ものをちゃんと考える人なら当然考え、感じるようなことが、非常に率直で親しみやすい、ややいい加減な文章で書いてある。読んでいて同感することの多い、気持ちのいい内容だ。
残りの2割は、私の予想よりも洞察が深かったり、逆にやたら安易だったり、やや意外な方向だったり。それがまた所氏らしいとも思えるのだが、それなりに刺激的ではあった。
これをキッカケにどんどん所氏の著書を読んでみよう、と思うようになったりはしなかったが、また機会があったら何冊か読んでみてもいいな、とは思うようになった。一方で、所氏の著書を読んで、そのものの見方や率直さを少しでも学んで欲しい、と思うような人が世の中にはゴマンといるのだが、そういう人たちにあっては、恐らく所氏の本は「くだらない」の一言で切り捨てられてしまうのだろう。まあ、私の知ったことではないけれど。