やっぱり、いしいひさいちは今でもその作品の質、量ともにぶっちぎりでNo.1の4コママンガ作家だと思う。
何が凄いって、とにかくパターン化することなく実に色々なギャグを出して来るところが凄い。ハイブロウな考え落ちからベタベタのダジャレ、掛け合いやドツキ漫才風、時事ネタから、勢いで笑わせる強引なネタまで。しかもそれがほとんど面白いと来ているから、これは驚愕ものだ。
本書は、数あるいしいひさいち作品からミステリ小説を題材にしたものを集め、書き下ろしを加えて二冊にまとめた文庫本である。題材は内外のあまたの有名なミステリ小説から取られ、それも一つとして同じ作品を題材にしたものがないのだから凄い。とくにシャーロック・ホームズものは、全60編を完全制覇している。いしいひさいちファンでも、シャーロック・ホームズファンでも、そしてミステリファンでも読んでみたくなると思うし、実際期待を裏切らないクオリティだと私は思う。
しかし、最大のミステリは、本書が創元推理文庫の「本格ミステリ・フェア」のリストに入っていることかもしれない。(笑)