【映画の感想】(ビデオにて鑑賞)

『ラストサマー』
★☆

 『スクリーム』の脚本を手がけた人物がまたしても「高校生モノお約束ホラー」を作り、それが大人気を呼んでいると聞いたからには、やはり観てみたいというものだ。
 そんなわけで、普段は滅多に手を出さないレンタルビデオの「新作」の棚から借りて観てみたのだが、率直な感想としては…、うーん、今二つかな。

 内容は『スクリーム』と同じく「若者系、『殺人鬼は誰だ』類」のお約束サスペンスホラーで、『スクリーム』と同じようなリズム感もあるのだが、いかんせん意外性がゼロに近い。『スクリーム』は無茶苦茶なまでの意外性を演出するため、ほとんどギャグとも思えるほど全編無茶だらけにしてしまい、それが全体に流れるリズム感とスピード感によって昇華され、面白味に化けたというような作品だった。それに対してこの『ラストサマー』は、非常に真っ当に作られた真っ当な作品で、無茶だと思われるような要素がほとんどない。ストーリーの展開から犯人の正体まで全てにおいてオーソドックスで、意外性という面ではほとんどゼロと言っていい。かといってリアルな作品なのかと言えばそうではなく、お約束ホラーらしいご都合主義は随所に見られる。
 そんなわけで、全体の印象としては、比較的クオリティの高い、ありがちなお約束ホラーというところに落ち着いてしまう。この作品が全米で3週間1位をキープして、すでにパート2の制作が始まっているという事実には少々驚いてしまう。『スクリーム』のパート2はちょっと観てみたい気がするが、この作品のパート2は、敢えて観たいとは思わないなあ。

 ただ、この作品を観ていて思ったのは、この手の作品ではヒロインが可愛いかどうかがとても大切な要素なんだな、ということ。この作品のヒロインは結構可愛いのだ。そうなると、内容そのものがありがちでも「ああ、殺されたら可哀想」という気になってしまって、ある程度感情移入出来るのだ。我ながら下衆な話だとは思うが、率直な感情は致し方ない。やはり美人は得なのだった。

 この作品はとにかく徹頭徹尾「お約束」そのまんまなので、本当に「お約束ホラー」が好きだという人にしかお勧め出来ないように思う。「お約束ホラー」としての出来は割といい方だと思うので、その手の映画を観たことがない、という「初心者」にもお勧め出来るかもしれないが。

1998/10/13
『ラストサマー』
監督:ジム・キルスピー
製作:ニール・ H・モリッツ/エリク・フェイグ/ストークリー・チャフィン
脚本:ケビン・ウィリアムスン
配給:ソニー・ピクチャーズ

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