なるほど、よく出来た作品だ。
観念的な部分と、メッセージ性と、エンターテイメント性と、人情味とが、実にうまいバランスで盛り込まれている。穿った見方をすれば、いかにも映画賞を取れそうな作品、とも思える。
私としてはかなり楽しんで観られたし、とくに文句をつけたくなるところもないのだが、ちょっと残念だったのは、タイトルにもなっている「うなぎ」の扱いが小さかったこと。いや、うなぎの出番はかなり多かったのだが、釣り好きの主人公がうなぎだけを友として話しかける生活をし、うなぎを銛で突く漁をすることが出来ず、しかし罠でうなぎを捕らえる漁には抵抗がなかったりするあたりの心理が、どうも伝わって来なかった。主人公が罠で捕ったうなぎを食べていたのかどうかも描かれてない。…こんなことにこだわるのって、もしかすると私だけだろうか?(汗)
妻の浮気を知らせて来た手紙も、単に「妄想だった」で済まされてはちょっと拍子抜けという気がする。
TV放映されたのはオリジナルの映画版とは若干異なっているということなので、その辺がちょっと気になることは気になるのだが。