古い。とにかく古い。全てのセンスが思いっきり古い。そもそものプロットからストーリー展開、キャラクター、道具立て、画面作り、脚本、そしてSF考証に至るまで、全てが何十年も前の感覚だ。現在の常識では、こんなものはSFとは呼ばない。パニック映画としてもあまりにも工夫がなく、70年代の『エアポート』シリーズなんかよりもずっと安易なんじゃないかと思う。
「巨大隕石衝突による人類滅亡の危機」という非常にありがちで工夫のないプロットが、非常にありがちで工夫のないやり方で延々と描かれるのだからたまらない。そうした結果は非常にありがちで工夫のない作品の出来上がりかと思いきや、近年希に見るほど工夫のない仕上がりになってしまった、と私には思える。
細かな部分でリアリティを演出するとか、面白味のあるキャラクターを登場させるとか、変わった舞台設定をするとか、演出に皮肉なスパイスを効かせるとか、SF考証をしっかりして情報量で圧倒するとか、心に残りそうな会話を捻り出すとか、開き直ってエンターテイメント性を追求するとか、せめて何か一つでも思いつかなかったのだろうか。ここまで完璧に何もないと、あきれるよりも先に悲しくなってしまう。役者の演技がしっかりしている分、逆にプロットや脚本の質の低さが強調されてしまっているような気がするし。
この作品の制作スタッフは、全ての面であまりにも勉強が足りないんじゃないだろうか。