こんなによく考えられた、質の高い「パート2」には滅多にお目にかかれるものじゃない。…けれど、やっぱり最初の作品ほど面白くは感じられなかった。「パート2の悲哀」ここに極まれり、というのが率直な感想。
この作品は、前作『スクリーム』と同じように、映画というものを色々な面から題材に使って料理した、映画好きのための映画だ。それだけに「パート2」であることへの意識も大きいようで、パート2であることのメリットを最大限に利用し、かつパート2であるゆえの難しさを克服するべく工夫されていることが随所にうかがわれる。そのことだけでも、映画好きの人間はこの作品を観る価値があるかもしれない。
観客をあっちへこっちへと振り回す「ローラーコースター」感覚は健在で、相変わらず小気味良いリズム感を伴って、相変わらず無茶なストーリーをグイグイと引っ張ってくれる。一通りキャラクターが出揃っていくつか事件が起こったところで、それぞれのキャラクターの立ち位置の分析や犯人の予想など、観客が現時点で考えていそうなことそのものズバリを「映画狂」のキャラクターが喋ってしまうところなど、実にニクイ演出だ。ただ惜しむらくは、前作を見ている私としては誰が犯人かを論理面や演出面から推理することを最初から諦めているため、せっかくの「犯人当て」を混乱させる演出がかなり空振りしてしまっていたきらいがある。これがまさに、「パート2の悲哀」なのだろう。
もう一つ感じたのは、上記のような色々な工夫がなされ、様々な演出が仕掛けられた結果、そもそもこの作品のベースであったはずの「お約束スプラッタホラー」としての演出がおざなりになってしまい、作品全体としては何だかよく判らない代物になってしまっているような印象があること。これはまあ「行くところまで行っちゃった」ということでむしろ評価していいようなことなのかもしれないが、やっぱり殺人鬼が何人もの人間を惨殺する映画がまるっきり恐くない(恐がらせるつもりがない)というのは少々問題のような気がする。
そんなわけで、正直言って私はこの作品をあまり面白いとは感じなかったのだが、実はそれ以上に私はこの作品が気に入っている。何となくセオリーに従って作るという行為を軽蔑し、いかに観客の裏をかいて楽しませるかをよく考えて様々な工夫がなされているということを、非常に貴重な姿勢だと感じるからだ。そして、それらの工夫は決して滑ってはおらず、キチンと効果を上げて作品の質を高めている。これは希有なことだと思う。
しかし、観終わってあまり面白かったと感じなかったことも確かなわけで、私としてはかなり評価に困る作品になってしまった。私は基本的に面白いことが正義だと思っているので、こういうことは滅多にないことなんだけれど…。うーん。