仁侠映画だ。でなければアクション劇画か。とにかく日本人には馴染み深い雰囲気を持つ作品。ロバート・デ・ニーロとアル・パチーノ演ずる男臭いキャラクターが自然な感情移入を誘い、楽しませてくれる。
あまりリアルな作品ではないので、単純にキャラクターとストーリー展開を楽しむつもりで観る必要があるが、その限りにおいてはかなり良く出来ていると思う。派手な銃撃戦シーンも単なる迫力づけのお飾りではなく、キチンと演出されているのが好印象。細かなリアル感の出し方と開き直ったご都合主義のバランスが劇画的で、ある意味安心して観ていられる。キャラクターの描き方もハードボイルドというところまでは行かず、親しみが持てる。万人向けにうまく作られていると感じた。
残念なのは、ラストでの両雄の対決に迫力がなく、結果もあっけなかったこと。二人が実際に対決するという時点で既に勝負は終わっているということは解るが、二人の対決の構図を主題にした作品であるからには、その実際の対決を軽く描いて欲しくはなかった。もう少しどうにかやりようがあったのでは、と思ってしまう。
私としては充分に楽しめたこの作品だが、二大名優初共演に加えて脇役にも豪華な出演者を配した結果がアクション劇画というのは、少々もったいないような気がしないでもない。まあ、私はあまり俳優がどうこうという見方はしない(そもそもあまり知らないので出来ない)方なので、別にいいんだけどね。