説得力よりも意外性とサスペンス、という方針はわかるのだけど、ちょっと安易過ぎないかなあ。「二重三重のどんでん返し」というのも、ただあればいいってもんじゃないでしょう。
たたみかけるサスペンスをぐいぐいと盛り上げる演出は良く出来ていると思うし、実際かなり楽しんで観られたのだが、とにかくラストがいただけない。個人的には、夢オチの方がまだましだったんじゃないかとすら思える。なにやらテーマらしいものが提示されたりもしているが、それも明らかに取ってつけたオマケにしか見えない。結局、観客を振り回してハラハラさせることだけが目的の作品だったんだな、とラストに至って底が割れてしまうのだ。もちろん「単にそれだけが目的」の作品は沢山あるし、あっていいのだが、そのことを観客に感じさせてしまうのはマズイと思う。
もっとも、この作品を『スクリーム』のようなパロディ作品として楽しんだ人もいるようで、なるほどそういう見方をすればまた違った感想も出て来るのだろうと納得する部分はある。しかし、少なくとも私はこの作品を観ていてそういう印象は持てなかった。好みの問題ではあるのかもしれないが。