【映画の感想】

『アルマゲドン』
★★★★

 なんともまあ、この割り切りぶりは凄い。ご都合主義ってのはトコトンやれば悪いものではなくなるんだぜ!ってなところだろうか。演出として都合のいい時に都合のいい場所に都合のいい規模で落ちて来る隕石群に面食らうようでは、この作品は楽しめない。そんなあら探しをしていたらキリがないくらいにご都合主義の演出が矢継ぎ早に繰り出され、しかも途切れることがない。オリジナリティもリアリティも皆無。それでも楽しい映画は作れるのだ、という制作者の意気込みをぶつけられているような気がした。
 この作品の予告編を初めて見たのは『GODZILLA』を観に行った時だと思うが、その時の印象は、「CGでビルをぶっ壊して喜ぶ映画は、もういい加減やめてほしいな」だった。実際に観てみると、この作品は「そういう映画」ではなかった。「CGでビルをぶっ壊して喜ぶ」のは、この作品の中でこれでもかと使われる「ありがちな演出」の一つでしかなかったのだ。「ありがちな演出」というのはつまり沢山の作品で使い古されるほどに効果的な演出ということでもあるから、それをとにかく派手なやり方でマシンガンのように繰り出されては、皮肉な見方はとりあえず横へ置いといて楽しんじゃおうか、という気にもなってしまう。本当の意味での「ジェットコースター・ムービー」というのはこういうのを言うんじゃないかと思ったりもする。
 そんなわけで、私はこの作品をかなり楽しめた。こういうあっけらかんとした娯楽映画は充分に存在価値があると思うし、この作品の溢れるパワーは希有なものだと思う。時々は、「ハリウッド万歳!」という気分でこういう映画を観たいものだと思う。いつもだと腹が立つかもしれないけど。

1999/03/24
『アルマゲドン』
監督:マイケル・ベイ
原案:ジョナサン・ヘンスレー/ロバート・ロイ・プール
脚本:ジョナサン・ヘンスレー/J・J・エイブラムス
製作:ジェリー・ブラッカイマー/ゲイル・アン・ハード/マイケル・ベイ
製作総指揮:ジョナサン・ヘンスレー/ジム・ヴァン・ウイック/チャド・オーメン

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