【映画の感想】(ビデオにて鑑賞)

『スライディング・ドア』
★★☆

 ちょっとしたタイミングの差で、主人公が発車寸前の地下鉄に乗り遅れた場合と乗れた場合の二通りのストーリーを平行して描く、という趣向のラブ・ストーリー。タッチはまあ今風というか、割とシリアスなストーリーを軽くユーモアを交えながら描くという、よくある雰囲気。その限りにおいては脚本も演出も役者の演技もちゃんとしていて、退屈せずに観られる。「二元平行ストーリー」とでもいうような趣向も、それなりに楽しめる。
 …が、どうもラストがいただけない。二元平行ストーリーという構造をどうすれば最大限に活かせるかを考えあぐねたあげく、結局いいアイディアを思いつかず強引にインパクトだけを狙ってしまった結果のように私には見える。こんな風に全体の構造だけをサカナにして決着(?)させてしまったのでは、せっかくそれまで比較的マトモに生きていたキャラクター性が台無しなんじゃないだろうか。しかも、私に言わせれば大して面白い結末でも意外な結末でもないし。観客の安易な予想の範囲に収まってしまうことだけは避けたかったという気持ちはわからなくはないのだけれど…。

1999/06/22
『スライディング・ドア』
監督・脚本:ピーター・ホーウィット
製作:シドニー・ポラック/フィリッパ・ブレイスウェイト/ウィリアム・ホーバーグ

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