うーん、ショーン・コネリーはカッコイイ。ジジイになったらジジイの魅力が加わって、さらにカッコよくなったような気がする。何とも凄いオヤジだ。
…ということを実感させてくれたのだから、この映画の全体的な出来は悪くないのだろうと思う。しかし、観終わった後にショーン・コネリーのカッコよさ以外の印象がほとんど残っていないことも事実だ。
この映画のつくりは、とにかくヒーローとヒロインの魅力を前面に押し出して、そこにサスペンスと騙し合いの仕掛けをスパイスとして効かせるという図式になっている。ところが、ヒロインのキャラクターは平凡で全く面白味がないし、個人的にはルックスにも惹かれない。騙し合いの仕掛けはもう「沢山あればいいじゃん」とばかりに、理屈も説得力も何もない展開がラストに至るまでこれでもかと繰り出される。そんな中で繰り広げられるサスペンスの演出もとくに新鮮味がないし、つまりはケチを付け始めたらキリがないというレベルだ。
ただ、ヒロインにしろ展開の仕掛けにしろ、それなりに気を使って丁寧に作られてはいたようで、無条件で腹が立つほどヒドイ代物だとは感じられなかった。だから、とりあえずはそれをオカズにショーン・コネリーの魅力を楽しむことは出来たようだ。
どこまでもカラッと明るい内容ではあるし、軽い気持ちで観るにはいい作品なんじゃないだろうか。