前作『ロストワールド』でかなりガックリ来ていたので、この作品を観に行くかどうかは結構迷ったのだが、やはりこれは一応劇場で観ておかなくては何も言えない類いの映画だろうということで、勇気を出して足を運んだ。結果、意外に、と言っては失礼かもしれないが、とにかくこれが結構楽しめた。第1作の『ジュラシックパーク』は時代背景としてCGの使い方に関するインパクトが大きかったりしたので難しいところだが、純粋に映画として楽しめたという意味では、3作中でこの作品が一番だったのではないかと思う。
内容としては、結局3作とも全く同じ…と言うより、そもそも内容なんか全然ないわけで、つまりは恐竜との追いかけっこのスリルをどれだけ楽しめるかという作品なのだが、そのスリルを醸し出す要素は画面や音響の迫力だけでなく、設定の説得力やキャラクターの魅力によるところが大きい筈だと私は思っている。その意味で『ロストワールド』はダメダメだったわけだが、この作品はそのあたりに関してかなり頑張っている。そもそもの背景設定という面ではかなりいい加減で弱い部分が目立つものの、ストーリー展開や脚本の細かい部分にはそれなりに気を遣ってあって、一つ一つに最低限の説得力を感じる。その結果、各キャラクターの持つモチベーションなどが一応伝わって来て、ある程度感情移入することも出来て来る。それでこそ、その危機を見てスリルを味わうことも出来るというものだ。
だが、それだけに、クライマックスからラストに至る展開が唐突であっけなく感じた。単に「大きな危機を乗り切ったらめでたしめでたし」というのは、ちょっといただけない。もとより内容なんかないということを納得して観ているはずなのだからどうこう言うのもナニかもしれないが、ラストにもう一捻り、あるいはもう一引っぱり(?)、とにかくもう一つ何かがあれば、全体として一応ストーリーらしき体裁が整ったのじゃないかと思えて、惜しい気がした。
まあそれでも、このシリーズではちゃんとした内容がなくてもそれなりに楽しめる作品を作れることが証明された(?)わけだから、この先何本でもこの調子で作れるんじゃないだろうか。しかし、そうなったらせめてもう少し背景設定をしっかりして欲しいとは思うのだが。