おおきなはらっぱのまんなかに、こねこのミイちゃんのおうちがありました。あかいおやねの、ちいさなおうちです。
ミイちゃんは、テーブルのうえにしろくておおきな、あかいいちごのえのついたカップをふたつならべました。きょうは、こいぬのワンタくんがあそびにくるひなんです。
ミイちゃんがちいさなぎんいろのポットをテーブルにはこんだとき、ドアがあいて、ワンタくんがはいってきました。
ばしっ。
ミイちゃんの<はりせん・ちょっぷ>が、ワンタくんのはなづらにきまりました。
ワンタくんはびっくりして、はなをおさえながら、
「いたいなあ」
と、いいました。
ミイちゃんは、ひとさしゆびをたてて、
「ばかねえ、れでぃのおうちにはいるときは、のっくぐらいするものよ」
というと、ワンタくんをそとへおしだして、ドアをばたんとしめてしまいました。
ミイちゃんは、ワガママなこだったんです。
ワンタくんはまだヒリヒリするはなをさすりながら、おそるおそるドアをトントンとたたきました。すると、ドアがすっとひらいて、なかからミイちゃんがいいました。
「まあ、ワンタくん、おどろいたわ。ちょうどいま、おちゃのよういができたところなのよ。さあ、えんりょしないではいって。」
ワンタくんは、おもわずめがてんになってしまってぐずぐずしていましたが、いっしゅんミイちゃんのめから<さっき>をかんじたようなきがしたので、いそいでおうちにはいりました。
ワンタくんがせきにすわると、ミイちゃんがおちゃをついでくれました。
ワンタくんは、はなをクンクンさせて、
「なんだか、かわったにおいのおちゃだね。」
と、いいました。
ミイちゃんは、とくいげにむねをはって、
「<じゃすみん・てぃー>よ。」
と、いいました。
ワンタくんが、
「<じゃすみん>ってなあに?」
ときくと、ミイちゃんは、もっともっととくいげに、
「よくわかんないけど、<じゃすみん>ってかいてある<ばすくりん>をいれたんだから、まちがいないわ。」
と、いいました。
ワンタくんは、あおいかおをして、
「ぼく、あんまりのみたくなくなっちゃったな・・・。」
と、いいました。
ばしっ。
ミイちゃんの<ひらてうち>が、ワンタくんのほっぺに、あかいもみじのあとをつけました。
もみじのうえを、なみだがひとつぶつたっていきました。
ミイちゃんは、うでをくんでワンタくんをにらみつけながら、
「わたし、いっしょうけんめいつくったのよ。これをのむと、きっとからだがあたたまるわ。」
と、いいました。
ワンタくんは、ふるえるてでカップをとって、
「お、おいしそうだね、えへへへへ・・・。」
と、ひきつったわらいをうかべて、いっきにおちゃをのみほしました。
ミイちゃんは、ニッコリして、
「ね、おいしかったでしょ。」
と、いいました。
ワンタくんは、「うん」というつもりが、
「ぐ・・ぐん。」
と、なってしまいましたが、ミイちゃんはきにしていないようでした。
ミイちゃんは、ごきげんになって、
「さあ、おちゃのじかんはおわったわ。なにしてあそびましょうか。」
と、いいました。
ワンタくんは、せきがでるのをひっしでがまんしながら、
「ぼ、ぼく、おいしゃさんごっこがいいな。」
と、いいました。
どかっ。
ミイちゃんの<しんくう・とびひざげり>がワンタくんのこうとうぶをちょくげきしました。
あたまをかかえてウンウンうなっているワンタくんにむかって、ミイちゃんは、
「きょうはおひさまがあたたかいんだから、おそとでおにごっこをするのにきまってるじゃない。」
と、いいました。
ワンタくんは、やっと、
「そ・・・そうだね・・・。」
とだけ、いいました。
おそとはいいおてんきです。