ショートショート作品 No.007

『魔法』

 俺は、こういうオーソドックスなロール・プレイング・ゲームに目がないんだよな。
 マニュアルなんか読んでられねーや。こんなの大体操作は似かよってるもんだよ。
 まず、キャラクタ・メイキングだ。パーティは4人か。名前は・・・考えるのメンドクサイから、職業の名前をそのままつけちまおう。ファイター、シーフ、マジシャン、プリースト。まあ、こんなもんだろ。
 商店に行って、武器と防具をそろえて・・・と、よし、出発!
 おっ、早速出やがったな。
「グリーン・スライムがあらわれました。」
 スライムか。弱いモンスターっていうと、大抵こいつが出て来るんだよな。
 このっこのっ。
「グリーン・スライムを、やっつけました。」
 よし、やっつけたな。しかし、結構ファイターがやられちまったな。
 うわっ、また出た。
「ポイズン・スケルトンがあらわれました。」
 スケルトンか。
 うげっ、以外と強いじゃねぇか。あらら、ファイターが毒くらった!
 よーし、マジシャン、お前の出番だ。
「マジック・メニュー」
 へー、結構色々あるな。どれが攻撃の魔法かな・・・。
 まぁいいや。それ!<ダブハット>!
「マジシャンは、シルクハットから、ハトを出しました。」
 ・・・・・・・・・。

 次の日、このゲームのディスケットは、フリスビーと化していた。


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