一人の男を、一人の男が追っていた。
少なくともそう見える光景だった。
今では、こんな光景があちこちで見られる様になっていた。アンドロイド達が一体どこからどうやって出現したのかを知る者は誰もいなかった。もう、そんな事はどうでもよくなっていた。ただ、人間に混じって生活しているアンドロイドの数が増えてきているのは、誰の目にも明らかだった。
政府は事態を苦慮した末、アンドロイドに賞金をかけた。一体につき10万イエン。大金である。かくして、賞金稼ぎ達が街を徘徊する様になったのである。
逃げていた男の行く手は、袋小路になっていた。
行き止まりの壁を背にして男が叫ぶ。
「まってくれ!冗談じゃない!俺はアンドロイドなんかじゃない!」
レーザー・マグナムをかまえた追っ手の男は、ゆっくりと獲物に近付きながら、あざける様にいった。
「今更遅いな。テストの結果、お前はアンドロイドと出たんだ。」
「そ、そんな・・・さっきのがテストだなんて・・・。」
「アンドロイドに笑う機能がないってぇのは、周知の事実だ。」
「しかし・・・しかし・・・。」
今や、銃口は彼の鼻先まで来ていた。
「あんたの言ったギャグがつまんなかっただけじゃないか!!」
追っ手の男は引き金を引いた。