【映画の感想】

『GODZILLA』

 御存知、ハリウッド版の『ゴジラ』。
 いやー、何と言うかもう、完全に、隅から隅までハリウッド映画になっている。もちろん予想はしていたのだけど、こうまで見事だとあきれるより感心してしまう。要するに、「ゴジラをNYで暴れさせたい」という思いとハリウッド映画の黄金パターンを組み合わせたらこうなった、という代物。もとよりSFなんかではないし、日本の感覚で言う怪獣映画ともだいぶ違うものだ。
 どこが違うって、もちろん根本的なノリが全然違うわけだが、では具体的に何が一番違うのかと考えてみると、これはゴジラが完全に「単なる巨大な動物」として扱われていることだと思う。日本のゴジラ(をはじめとする「怪獣」)は、言葉を持たない巨大な動物であることは確かだけれど、内面的にはかなり擬人化され、結果として「人間でも動物でもない何か」、例えれば「鬼」や「物の怪」や、もっと言えばある種の「神」のようなものとして描かれている。「人間が抵抗してもどうにも出来ないもの」として、あるいは自然現象の象徴だったりもするのかもしれないが、まあとりあえずそれは置いておく。一方ハリウッドゴジラは、主人公の科学者の台詞にもあるように、完全に「ただの動物」なのだ。この違いは大きい。

[★ ネタバレ部分を呼び出す ★]

 それにしても、「白人以外は人間じゃない」と言わんばかりの人物描写がやたらに目につくこととか、ちょっとしたギャグからサスペンスの演出まで全てがお約束で使い古されたものばかりであることとか、そういったことまで一切合財全部を含めて「アメリカ的だね」とか「ハリウッド映画だからね」で許されてしまうアメリカやハリウッドというのは、実はとてもスゴイのかもしれないと思う今日この頃だったりする。

 頑張れ、日本映画界。(笑)

1998/08/25
『GODZILLA』
監督/脚本:ローランド・エメリッヒ
制作/脚本:ディーン・デブリン

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