「どうだね、進行状況は。」
「はあ、それが・・・。」
「遅れているのか? ノートパソコンを1カ月連続駆動させるバッテリーはもう完成したも同然だと君が啖呵を切ってから、もう2カ月も経つじゃないか。」
「はい、それは3日ほど前に完成しました。しかし・・・」
「そうか! よくやってくれた! すぐに生産ラインに乗せなくては。T社は既に連続駆動50時間のブック型パソコンを市場に出そうとしているんだ。我が社としては2週間以内に対抗機を出したい。」
「いえ、それはちょっと無理です。」
「なぜだね?」
「試験中なのです。2週間ではとても終りません。」
「・・・そうか、これは気が付かなかった。1カ月使えるバッテリーの試験には、やはり1カ月はかかる訳か。まあ、仕方があるまい。試験もせずに商品化するわけには行かないからな。しかし、これは他社としても同じことだ。先んじられることはない訳だ。」
「それが・・・」
「なんだ、試験に不安でもあるのか? 平行作業が必要なら、もっと人員を割いてもいいぞ。」
「いえ、実は、まだ試験は充電の段階なんです。」
「まさか・・・」
「はい。充電には1年かかるんです。」