ショートショート作品 No.040

『地球最後の日』

博「なにお前ら、あんま塾来ないと思ったら、こんなとこでサボッてんの?」
聡「まあな。時々でも行ってんのがすげーくらいだよあんなの。」
真「親の顔立ててるだけっす。」
博「で、今日はオレまで連れてきてどーしようっての。」
聡「お前はあんま頭良くないけど幼稚園前からの親友だからな。オイラとしてもちょっと思いがあるわけよ。」
博「悪かったな頭わりくて。でもお前らだって塾サボりまくってたら私立中落ちんぞ。来年は六年生だかんなあ。」
真「その辺のオトナみたいなこと言うなって。」
聡「考えてもみ。オイラたちって、どこの中学入ろうとかイイ大学行ってオオクラカンリョーになろうとか、そういうこと考えてる場合じゃないだろーが。」
博「オオクラカンリョーってなんだ?」
真「悪いやつのことだよ。」
聡「だから、そういう場合じゃないんだって。」
博「なんで?生きてくためには、まずそーゆーこと考えないといけないじゃん。」
聡「だぁからちょっとは考えろって。今やオイラたちの世界って大気汚染はダイオキシンで雨は酸性でオゾン層はボコボコで温室効果はエルニーニョで食い物は農薬と添加物で原発は野放しで、それでも人間は脳みそ腐りまくりで、何をどうしたって取り返しつかないだろこれは。」
博「えー?なにそれ、オレらにそんなのカンケーあるわけ?」
真「青いなー。」
聡「カンケーあるも何も、そのまんまオイラたちのことだろーが。お前、何だと思ってんの?」
博「うーん、でもそれってこれからオレらが大人になって何とかして行けばいいんじゃ…。」
聡「そーゆー頭にウジの沸いた連中の言うこと真に受けてんじゃねーよバカ。」
真「自分でもの考えない生ゴミがオレらに責任おっかぶせてんだよ。」
博「なんだよー。じゃ、どうしようっての?」
聡「じゃーん、ここに惑星破壊爆弾があります。」
博「なんでそんなの持ってんの?」
聡「自称宇宙人に売ってもらった。五百円で。」
博「インチキくせー!」
真「ま、その可能性はあるけどな。」
聡「でも、オイラたちとしてはこれに賭けるしかないだろ。ムリョクな若者としては。」
博「でも、なんかこれ、結構ホンモノっぽいな。精巧っぽいし。」
真「だろ?」
聡「じゃ、安全バー外すぞ。全員でボタン押すんだ。」
博「あーあ、なんかヤな状況になっちゃったな。」
真「世界中が猛烈にヤな状況なのに今まで気付かなかっただけだろ。」
聡「じゃ、行くぞ。三、二、一、そりゃ!」
 ばーん!


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